インテリア / Interior
Photo by Toshiaki Nakatani
デスクトップ・シアター / Desktop Theater
テーブルの上の空間を舞台に上演する『デスクトップ・シアター』。KUMA EXHIBITION 2019(東京・スパイラルガーデン)での試演から2年を経て、会場をブラックボックスの劇場空間へと移し、新しい出演者と新しい演出体制で創作を再開します。今回は、普段舞台や客席の足場として使用されている劇場のマテリアルを地面から持ち上げ直し、文字通り「劇場」をテーブル化することから始めます。劇場からテーブル、テーブルから劇場へ。異なる二つのスケールを往還しながら、人とものが共同する新たな舞台のかたちを追究します。
人とものの関係を考えるというような漠然としたイメージよりも、もう少し具体的というか、日々の営みの中でのそれを前提にして人とものが共同・共演する場を構想するなら、舞台は劇場ではなくテーブルになるんじゃないか。テーブルは常に人ともの、また人と人の間にある。地面から切り離され(脚に支えられ)宙に浮かぶ平面上には、劇場よりも純粋な空間が広がっている。そんなわけで、テーブルの上で上演しようと考えた。試演をやった2年前も今も、テーブルの上で何をやればいいのかはよくわかっていない。ただテーブルの上を舞台にすることに決めたので『デスクトップ・シアター』。
福井裕孝(演出)
たとえば文楽における人形が操演者なくして歩くことができないように、人形は黒衣を含めてで一体で、つまり人形を地から支持する下半身が黒衣である。デスクトップも“トップ”であって、“トップ”であるということは“ボトム”もあるはず。こちらにもまた、支える下半身の存在が仄めかされている…だから本企画の正しい名称は『デスクボトム・シアター』でもあるのでは…なんて思い巡らしつつ、僕は演劇そのものにおいて下半身とは何なのかが気になってしまって今は仕方がない。ただの支持体にはない珍奇な主体性が、演劇の下半身にもあるのではないか、とか。
吉野俊太郎(演出)
ロームシアター京都×京都芸術センター
U35創造支援プログラム“KIPPU”
2021年7月2日-7月4日
ロームシアター京都ノースホール
演出:福井裕孝 吉野俊太郎
出演:石原菜々子、今井彩乃、小坂浩之、小中 葵、斉藤ひかり、篠原加奈子、鶴田理紗、野村眞人、宮田直人
舞台美術:古舘壮真
舞台監督:小林勇陽
照明:渡辺佳奈
音響:林実菜
記録:中谷利明
宣伝美術:明津設計(浅田農)
ドラマトゥルギー:朴建雄
制作:黒木優花
主催・製作:福井裕孝
共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団) 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会) 京都市
協力:一般社団法人日本障害者舞台芸術協働機構、ジャグリング・ユニット・フラトレス、白昼夢、プリッシマ、kondaba
助成:公益財団法人全国税理士共栄会文化財団
ロームシアター京都×京都芸術センター
U35創造支援プログラム“KIPPU”
主催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団) 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会) 京都市
助成:令和3年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
福井裕孝(ふくい・ひろたか)
1996年京都府生まれ。人・もの・空間の関係を演劇的な技法を用いて再編し、その場の全体的な状況を異なる複数のスケールやパースペクティブから捉え直す。近年は『モデルルーム』 (2018)、『インテリア』(2018)、『マルチルーム』(2019) など、部屋という空間単位から作品を製作する。
Photo Toshiaki Nakatani
Photo YUNOSUKE ISHIBASHI
古舘壮真(ふるたて・そうま)
1995年愛知県春日井市生まれ。東京を拠点に活動。空間内に存在するあらゆる関係性に着目し、 独自のアプローチでデザイン・制作を行う。素材そのものの鮮度を大切にしながらも、人・モノ・ 空間への効果的な造形表現を重視し、素材がもたらす新しい機能や価値観、ストーリーを生み出す可能性を探る。発表の場は国内外を問わず、多数のライブラリーに作品が収容されている。2019年に武蔵野美術大学を卒業、現在はインハウスと自身の制作を並行して活動している。
吉野俊太郎(よしの・しゅんたろう)
1993年新潟県生まれ。2019年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。2017年、卒業制作作品「門」にて首席。同年、Royal Academy Schools(英国)へ交換留学。2019年に東京都小平市にて共有スペース「WALLA」をオープン、以降共同運営に携わる。現在は東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程に在学中。専門は彫刻、研究テーマは「操演」。主に台座や道化、人形や奇術などを調査検討し、彫刻物の自我とその演出法に関する研究を行っている。
Photo beni taeko
石原菜々子(いしはら・ななこ)
役者。東京都足立区にて育つ。高校卒業後、東京の小劇場にて活動。2012年に劇団維新派『夕顔のはなしろきゆふぐれ』出演。同年11月、維新派に入団し大阪に移住。2017年解散まで全ての作品に出演。現在は元維新派劇団員である金子仁司とともに kondaba というグループにて活動。2021年3月に#2『つかの門』発表。2019年から石見神楽大阪社中にて神楽の舞台にも立つ。〈都市〉や〈あそび〉をテーマに自身の演劇作品の創作も行う。
今井彩乃(いまい・あやの)
2007年生まれ。中学2年生。2020年、劇場の学校プロジェクト/演劇コース受講。得意な科目は英語と国語。演劇やアートに興味があります。趣味は美術館めぐり。
Photo Suh@Photo
小坂浩之(こざか・ひろゆき)
石川県金沢市出身。深津篤史率いる桃園会に10年間在籍後、2009年からフリーの俳優として活動。松本雄吉や松田正隆、林慎一郎などの演劇作品や、山下残、きたまりの振付作品など、ジャンルを問わない舞台活動を続けている。
小中 葵(こなか・あおい)
1994年生まれ。主な関心は身体を基準とした、距離や位置、痕跡や不在、行為と儀式。"信じられるもの"との関係を写真一般を用いて探っている。本作が初舞台となる。Asexual (仮)
斉藤ひかり(さいとう・ひかり)
1996年大阪府出身
大学生の時に演劇を始めて、今は劇研アクターズラボ伊藤拓也クラスに参加中
篠原加奈子(しのはら・かなこ)
大学院生。進学に合わせ昨年より京都に住む。ラジオや音楽を聴きながらの散歩が好きです。昨年関わる人が少なく、関わりを求めていたところ、ここにたどり着きました。
Photo 間宮きりん・澤田靖子
Photo 大橋絵莉花
鶴田理紗(つるた・りさ)
俳優。神奈川県在住。劇団白昼夢所属。日本大学芸術学部演劇学科演技コース卒業。こまばアゴラ演劇学校“無隣館”2期修了。白昼夢を中心に活動しながら、近年はユニット「私は少し静かにしてるね」を立ち上げ、自身でも作品づくりを行う。
Photo 石居真信
野村眞人(のむら・まさと)
演出家、劇団速度。演劇は制度だと考えている。異なる複数のメディアを横断し、間主観的表象や場を扱う上演作品を制作。ズレと距離がキーワード。主な演出作品に『ルーム・ダビング』(2020),『わたしが観客であるとき』(2020)など。利賀演劇人コンクール2018で優秀演出家賞、観客賞受賞。また、俳優として村川拓也作品、庭劇団ペニノなどに出演。大森靖子ファンクラブ会員。
宮田直人(みやた・なおと)
ジャグラー、オブジェクトシアター演出家、舞台制作者として表方・裏方問わず幅広く活動。デビルスティック、ハットを用いたジャグリングを得意とし、国内最大の大会 “Japan Juggling Festival” ファイナリスト、他大会での授賞歴多数。2017年よりマイム俳優いいむろなおき氏に師事するなど、他の芸術分野を積極的に学び、独自のメソッドで作品作りを行う。京都でロングラン公演中のノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』ジャグリングパートとして出演中。