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Photo by Hikaru Tsuzuki

インテリア

Interior

わたしたちは生きるために必要なものや生活を豊かにするものを身の回りに集め、それらを按配よく配置することで、プライベートな環境を形成している。椅子、机、ベッド、冷蔵庫、洗濯機、皿、テレビ、服、ティッシュ、ぬいぐるみ、人から借りた本、無印の爪切り、醤油、趣味じゃないラグマット、植物…など。そこでは住み手である人とものが互いに存在を規定し合いながら親密な関係を保ち続けている。この私的な聖域を舞台に日々繰り返し上演されている「生活」という出来事を、演劇の形式を借りてわざわざ立ち上げてみます。その手がかりとして、会場に集まる観客および演者が所有している「もの」を舞台上に集め、ある「家」の状況を仮構することからはじめたいと思います。当日はご自宅からそれぞれ「もの」を一つお持ちの上ご来場ください。ものと来て、ものと観て、ものと帰る演劇。

 

 

今回の創作の現場では「地層(化)」という言葉をよく使っている。例えば、床面に無造作に置かれたチラシや小銭などを指して「これは地層です」「これはすでに地層化していることとします」といった具合に。日々の暮らしの痕跡が堆積し、家に地層が生まれる。家に住まうことは、つまるところ「もの」に住まうことであり、わたしたちの住まいは、この幾重にも重なり合う地層によって形づくられている。一度地層化したものは生活の背景へと後退し、変わらずそこに存在するにもかかわらず、住み手の視野からは消失する。ただ、ふとした拍子に地層から「もの」が「出土」することがある。これといった置き場もなく、かといって手放すこともなく、部屋中をたらい回しにされていた置き物と目が合う瞬間がある。この作品は、家を舞台に人と「もの」の関係や暮らしの身振りが日常化、習慣化するプロセスを描いている。そこで形成されゆく家の秩序や風景を打ち破り「もの」が「出土」する瞬間、それぞれにとってもっとも身近な「他者」と出会いなおすような経験が、当日集まった人と「もの」との間に生まれますよう。

​福井裕孝

『インテリア』

20241017日(木)〜 1018日(金)

京都芸術センター フリースペース

KYOTO EXPERIMENT 2024「Echoes Now」和田ながらプログラム

演出:福井裕孝

出演:金子仁司、井上和也

キュレーション:和田ながら

KYOTO EXPERIMENT スタッフ

照明:安武千沙子(RYU)

音響:甲田 徹

テクニカル:綿中駿介、小林勇陽、さかいまお

舞台アシスタント:原田香純

大道具:福田有司

宣伝美術:竹内敦子(XS)

制作:柴田聡子、豊山佳美、後藤孝典

短期インターン:松下遥香

京都芸術センター スタッフ
舞台:十河陽平
コーディネート:谷 竜一、寺岡樹音、西田祥子

協力:京都芸術センター

助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会

主催:京都国際舞台芸術祭実行委員会[京都市、ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、京都芸術大学 舞台芸術研究センター、THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)]一般社団法人KYOTO EXPERIMENT

KYOTO EXPERIMENT 2024「Echoes Now」

© 2020 Hirotaka Fukui

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