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Photo by Viola Niklas

シアターマテリアル (上演)

Theater Material [Performance]

京都・東九条にある劇場、THEATRE E9 KYOTOの建物/敷地の中にある“もの”を一つひとつすべて撮影・記録するプロジェクト『シアターマテリアル』。演出家の福井裕孝がTHEATRE E9 KYOTOのアソシエイトアーティストとして取り組んできた本プロジェクトは、2022年度に劇場の“もの”の撮影・記録作業を行い、2023年度に計1027品目の“もの”の写真とデータを収録したアーカイブカタログを発行しました。

アソシエイトアーティスト最終年度となる今年度は、“もの”の記録が保存されたカタログを“戯曲”として新たに読みなおし、劇場にて上演化を試みます。​​未だかつてない、劇場の“もの”の“もの”による“もの”のため(?)の上演とは。

 

舞台上に〈もの〉を置く。シャッターを切ると両脇のストロボライトが明滅する。「はい」という撮影者の合図のあと、〈もの〉を画角の外に退けて、次の〈もの〉を置く。この作業をひたすら繰り返す。劇場にある〈もの〉たちが、一時的にそれぞれの持ち場を離れ、何もない舞台に上がり、非日常的な光に照らされ、また元の場所へ戻っていく。計4日間にわたって行われた撮影作業に観客はいなかった。それでも観客のまなざしと置き換わるように設置されたカメラは、淡々と流れ過ぎていく〈もの〉の“上演”の一部始終を捉えていた。このカタログに収められているのは、劇場の〈もの〉の記録であり、劇場の〈もの〉による“上演”の記録である。

そして今回は、そのカタログを劇場で上演してみます。参照すること、分類すること、選択すること、使用すること...カタログという形式が掻き立てる、さまざまな欲望や期待に応えられるような上演を思い描きながら、好光さんと劇場でリハーサルを重ねました。一度記録され、〈モノ化〉された〈もの〉たちが、カタログという“戯曲”によって要請され、再び劇場の舞台にあらわれるとき、一体何を物語るのでしょうか。

 

福井裕孝

 

今回「上演台本」として扱われる、このカタログには、劇場の中で撮影された様々なものの大量の写真が収められています。一般的に、カタログ、またはカタログを構成するリストの持つ役割は様々です。皆さんの周りにはどんなカタログやリストがありますか? 購入するもののイメージ図を与えてくれる商品のカタログ。コレクション全体を羅列することで所蔵元の全体像を把握することのできる博物館のカタログ。履歴書の山だってこれから採用する人を見比べるためのリストですし、口座残高はあなたの現在の預金額を示すリストです。野外で見つけた植物や動物の名前を知りたくて検索するために使う図鑑やデータベースもカタログと言えますし、思い出のアルバムも記憶を辿るためのリストです。

このようなカタログやリストの持つ特性を用いて、アーキビストでもありアーティストでもある福井と好光がTHEATER E9 KYOTOとその備品のカタログを解きほぐしてゆき、上演という形に結びつけていきます。さて、劇場のものたちが駆り出されていきます。ものたちと皆さんとの間に何か類似した記憶や感覚を呼び起こすことが出来ればと思います。

好光義也

シアターマテリアル (上演)

20241122日(金)〜1124日(日)

THEATRE E9 KYOTO

演出:福井裕孝、好光義也

出演:好光義也

テクニカルコーディネート:十河陽平(SOGO TECHNICAL DESIGN

制作:八木志菜

スチール撮影:中川桃子、Viola Niklas 

当日運営:川瀬 彪、前田将平

協力:米川幸リオン

THEATRE E9 KYOTOインターン:宮井梨佳

 

主催:福井裕孝、シアターマテリアルアーカイブ部

共催:THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)

​助成:京都府文化力チャレンジ補助事業

THEATRE E9 KYOTO 第アソシエイトアーティスト

© 2020 Hirotaka Fukui

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